
久しぶりに水木しげるの「昭和史」を読んでおりますが、最終の第8巻は高度経済成長時代の話。
今日読んだのは田中内閣誕生のあたりですが、1972年7月に田中内閣が成立すると国民の支持率は高かったものの、その前後から地価が暴騰しはじめ全国平均で20%、東北自動車道が予定されていた盛岡は40%も値上がりしたのだとか。日本列島改造論は総理就任前に発表されてたものですが、影響が大きかったのでしょう。
その地価は翌73年には全国平均で30%の上昇にもなり、それ以外の物価も上がってこの年の消費者物価の上昇率はなんと15%。
そして73年10月に第四次中東戦争が勃発し原油価格が高騰したことにより、74年に入ると「狂乱物価」と言われるインフレ状態になりました。
当時私は小3でしたが「オイルショック」という言葉はよく覚えてます。寒くなる時期だったので石油ストーブを使ってたので両親は深刻だったことでしょう。世間も暗い雰囲気になったのはよく覚えてます。
なお、トイレットペーパーがなくなったという話もよく聞きますが、実家はまだ和式の汲み取りトイレだったので普通にチリ紙でしたが多分その値段も上がったのでしょう。
そして、時期は定かではありませんが、当時時々買って貰ってた少年ジャンプが100円から130円に値上がりし、段々ページ数も減った記憶があります。当時の子供の小遣いからすると30円の値上げは大きいですね。
世間の動きはいろいろあったのでしょうが、一般にはマイカー規制、ガソリンスタンドの日曜閉業、テレビの深夜放送中止というのがあったそうです。私が覚えてるのは野球のナイターで、それまで18時50分試合開始だか放送開始だかそういう時間でしたが、30分早まったと記憶してます。要するに明るい時間から始めてナイター照明の電気代を節約するということで。
そして、この時期には世間の人々を不安にさせるような作品がヒットしました。何かというと、まずは小松左京の小説「日本沈没」。これが73年3月の発刊であっという間にベストセラーになり、74年の正月映画にもなりました。小説の発売から映画になるまでの期間が早いですね。
さらに、73年11月に発売されてベストセラーになったのが五島勉の「ノストラダムスの大予言」。ご存じの通り1999年7月に空からうんたらかんたらというあれです。我が家にもありましたが、親戚の家にも漏れなくあったように思います。
と、そういう話を思い出して感じたのが、世の中が暗い気分になると妙な予言が流行るという事。今もロシアのウクライナ侵攻以来ガソリンをはじめ物価は高いままだし、去年から野菜がなかったり米が足りなかったりでさらに高騰し、今度はトランプ関税により経済に暗雲というとどうもオイルショックの頃を思い出してしまいます。
ただでさえ将来に希望が持てない時代なのに、現実の生活まで苦しくなるとああやって終末思想のようなものが出てくるのは人間の性なのでしょうか。とはいえ、私の年代だとノストラダムスの大予言は大ウソで、五島勉と出版社が大儲けしただけというのをよく知ってますので、先日の地震の予言などには騙されません。「アホか?」と思うくらいで。
なお、「日本沈没」は映画も大ヒットしましたが「ノストラダムスの大予言」も映画になり74年のお盆に公開されましたがそちらはサッパリでした。どちらにも出てたのが丹波先生ですが、話題としては由美かおるがお洋服脱ぐことくらいでしたでしょうか。
実は私は劇場で見ました。当時小5男子だったものとしてはノストラダムスの方は途中で飽きてきて、同時上映の実写版ルパン三世の方が面白かったくらい。ということで、今後の展望としては今回の地震予言の顛末を映画にして、同時上映としてそのルパンの実写版を復刻上映して貰いたいものだと。ルパンが目黒祐樹で次元が田中邦衛なのは覚えてますが、峰不二子はだれだったかなあ。
そういえば当時はユリゲラーもいて念力ブームではありましたね。ということで、今後は念力ブームも再来する事でしょう。(って、なんちゅう結論じゃ。)